2003年7月18日
内閣府 沖縄担当大臣 細川博之 様
内閣府沖縄総合事務局 局長 様 港湾環境技術指導官 川上泰司様 開発建設部港湾計画課 課長 赤倉康寛様
沖縄県知事 稲嶺恵一 様 土木建築部 港湾課 課長 小渡良彦 様 環境政策課 課長様 自然保護課 課長様
環境省 環境大臣 鈴木俊一 様
泡瀬干潟を守る連絡会
共同代表 内間秀太郎 小橋川共男
「ホソウミヒルモ」の保全の要請
泡瀬干潟を守る連絡会は、去った6月20日に、泡瀬干潟、第1期埋立工事区域で、日本新産「ホソウミヒルモ」が発見・採取された、この種は新種の可能性がある、等を記者会見で公表し、事業者側、環境省等にその保全策を要請してきました。
これらの要請に応え、その第T歩として、事業者側は7月13日に、泡瀬干潟を守る連絡会とともに、「ホソウミヒルモ」の合同観察会を実施し、同海域で、「ホソウミヒルモ」の生息を確認し、同種の生息範囲(暫定的な生育範囲)を調査しました。
事業者側の「ホソウミヒルモ」の同海域での生息確認を踏まえ、下記の要請をいたします。早急の対応を求めます。
要請
1.「ホソウミヒルモ」は、生育量も少なく、生息場所も極めて狭いことを考えると、種の保存のために、8月から予定されている汚濁防止膜の展張、護岸工事、仮設橋梁工事の中断が必要である。沖縄総合事務局等事業者は、工事の中断、同種の保全策を7月29日に開催される第2回環境監視委員会に報告し、指導・助言を仰ぐべきである。
2.沖縄県は、環境影響評価書にある「知事意見」すなわち、「工事中に貴重な動植物が確認された際は、関係機関に報告するとともに、適切な措置を講じること。」を踏まえ、沖縄総合事務局に対し、工事の一時中断を含め、早急に適切な保全措置をとるように要請すべきである。
3.また、「ホソウミヒルモ」が、絶滅の危機にあることが十分予想されることから、環境省は、「種の保存法」にある、「緊急指定種」に本種を指定し、「生息地等の保護」など早急な保護対策を行うべきである。同時に、事業者側に同種の保存の立場から、埋立工事の中断、中止を要請すべきである。
4.海草の分布について、基礎的な調査がなされないうちに、生息場、ホソウミヒルモの個体群が失われていってしまうような状況では、日本は先進国とは言えない。同種の分布状況、生息環境の把握、保全策を検討するために、事業者等を除く第3者の専門家グループに本格的な調査を依頼すること。調査は、採取・鑑定・発表に責任が持てる第1発見者の新井章吾氏を含め、海草の専門家(例えばKuo氏、金本自由生氏など)を複数いれること。
絶滅危惧U類・ヒメウミヒルモの調査も同時に依頼すること。
5.クビレミドロ、トカゲハゼ、ヒメウミヒルモ、「ホソウミヒルモ」、海藻の新種「リュウキュウズタ」、「ニライカナイゴウナ」(日本新産の貝、新種の可能性あり)、希少種の貝類、希少種ヤマトウシオグモ等の生息地、シギ・チドリ類の渡り鳥の沖縄最大の飛来地・休息地である等に見られるように、泡瀬干潟とそれに続く浅海域は学術的にもきわめて貴重な場所であることはいよいよ明らかになった。琉球諸島が世界自然遺産に登録されようとしていること等からして、同海域を含む「中城湾全体の保全」が求められる。環境省、内閣府沖縄総合事務局、及び沖縄県は、早急に「中城湾全体の保全」対策を立案し、実行されることを強く要望する。泡瀬干潟の埋立は即刻中止すべきである。
要請理由
1.泡瀬干潟、第1期埋立工事区域内での「ホソウミヒルモ」の発見、標本の採取は、日本・沖縄、東南アジア、オーストラリアを含む区域で始めてである。この種は、日本新産であることは明らかである。第一発見者の新井章吾氏は形態的特徴から「ホソウミヒルモ」と正式に命名した。
2.日本新産「ホソウミヒルモ」は、新種の可能性があり、クビレミドロ以上の大発見である。新種かどうかは、花や種子の形態比較やDNA解析によって、同定する必要がある。今後、花や種子が見られ生活史が明らかになるまで、慎重な検討が必要である。このような情報を得るため、生息地に対しては厳重な保全が求められる。また、ハワイの固有種(学名 halophila hawaiiana)との形態的類似性は、生物地理学的にも重要で、「ホソウミヒルモ」は学術的にも大変貴重といえる。
3.「ホソウミヒルモ」の生育範囲は、絶滅危惧U類のヒメウミヒルモより狭く、生育量も少ないことから、絶滅危惧T類に指定されるべきである。
4.この「ホソウミヒルモ」は、海水が清澄で砂面変動の生じにくいところ、細砂〜泥の底質に生育し、分布範囲が限られていると思われる。移植による保全は困難で、現在生育している海域の環境をそのまま維持する保全が求められる。