皆様
前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会事務局長)
下記の記者会見を行い、沖縄総合事務局に工事中止、調査、保全措置、知事への報告、県との調整、知事意見
を要請しました。
回答は「中断の考えはない。調査して適切に対処する」ということでした。あらゆる方面からの要請が必要で
す。日本ベントス学界は20日に要請、21日に記者会見を行いました。
19日の要請は、総合事務局に口頭での要請でしたが、再度11月の初旬に沖縄県知事・港湾課・環境政策課・自然保護課、
そして総合事務局開発建設部・港湾計画課に文書での要請を行います。
要請の日程は次のように決まりました。
11月2日(水)11時:土木建築部港湾課、13時:文化環境部、環境政策課・自然保護課、合同
11月2日(水)15時:沖縄総合事務局開発建設部・港湾計画課(これは予定、現在調整中)
要請の趣旨は、「アセス書での県知事意見、事業者の見解に基づき対応するように」ということです。
参考までにアセス書での沖縄県知事意見、事業者(総合事務局等)の見解を示しておきます。
アセス書での沖縄県知事意見:工事中に貴重な動植物が確認された際は、関係機関に報告するとともに、適切な措置を講じること。
事業者(沖縄総合事務局等)の見解:工事中に天然記念物指定種や「レッドデータブック」、「レッドリスト」等の掲載種、
その他貴重種・重要種に相当する種で、環境影響評価書に記載されている動植物種以外の種の存在が埋立てに関する工事の
施工区域内若しくはその近傍で確認された場合には、関係機関へ報告するとともに十分調整を図り、その保全に必要な措置
を適切に講じます。
この見解によれば、事業者は早急に調査し、その保全につとめるために「事業を中断し、対応すべき」です。私たちはそのことを
強く要請したいと思います。
記者会見文書 2005年10月19日 沖縄県庁記者クラブ
「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編) レッドデータおきなわ」に掲載された泡瀬の生物
について
泡瀬干潟生物多様性研究会 代表 山下博由 神奈川県藤沢市鵠沼松が岡3-1-26-103 090-7167-3549
泡瀬干潟を守る連絡会 事務局長 前川盛治
2005年9月(出版年月は奥付では2005年3月)に「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物
編)レッドデータおきなわ」が沖縄県文化環境部自然保護課から出版された.これは1996年に沖縄県環境保
健部自然保護課から出版された「沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータおきなわ」の動物編改
訂版である.
この改訂版レッドデータブック(以下,RDB)では多くの種でカテゴリーの再検討や新たな登載がなされ
た.特に貝類について,初版RDBでは陸淡水産貝類しか扱われていなかったが,改訂版RDBでは汽水域か
ら海域まで多くの貝類について検討がなされ,多くの種が新たに登載された.
我々はこの改訂版RDBにおいて,泡瀬に産出する種を確認しリストアップしたので,ここに報告する(表
1,2).表に示したように,改訂版RDBに登載された種のうち,魚類6種,甲殻類7種,貝類108種の合
計121種が泡瀬において確認された.
非常に膨大なRDB登載種が,泡瀬に分布していることが明らかになった.これは泡瀬の生態系の豊かさと
貴重性をあらためて証明するものである.泡瀬においては,このように膨大なRDB登載種の存在が新たに明
らかになったことから,現在進行中の埋立工事を中止して,RDB登載種の調査と,環境保全策・埋立工事の
あり方の根本的見直しを行うべきであると指摘される.また、海洋生物専門家を加えた上での環境監視委員会、
環境保全・創造検討委員会を早急に開催し、今後の対応のあり方を議論する必要があるであろう.
貝類では108種のうち,41種が第一期工事区域に生息していることを確認したが,さらに25種は第一期工
事区域に生息している可能性があり調査が必要である.例えば,絶滅危惧IB類のトウカイタママキは今年度
の工事区域付近に集中的に生息している.こうしたことから,現在進行中の第一期工事を中断して,これらの
種の調査を行ない,環境保全策を再検討する必要があると指摘される.
また,改訂版RDBでは,ニライカナイゴウナ,オサガニヤドリガイ,ヤマホトトギスなど貴重性の高い種
が少なからず「情報不足」のカテゴリーに入れられているが,これらは言わば「情報が不足するほど分布や生
態の情報が少ない」種であり,将来的に絶滅危惧種として評価される可能性の高い種であるから,研究によっ
てその位置付けが明確になるまで,その種の生息には細心の配慮が必要があると指摘される.すなわち,情報
不足種は絶滅危惧種と同等以上の保全上の配慮が必要であると,生物学的に判断される.
*参考メモ:トウカイタママキについて
改訂版RDBには,泡瀬に生息する多くの貝類が登載されており,埋立工事の影響が本文において指摘され
ている.例えば,絶滅危惧IB類のトウカイタママキ Mactrapulchella(バカガイ科)は「琉球列島の海産貝
類の中で最も分布域の狭い種」「沖縄県内での生息域大浦湾と泡瀬干潟に限られ,その生息密度は低い」とさ
れており,「泡瀬干潟の生息域では,埋立工事が行われている」と指摘されている. 我々は今年の調査で泡
瀬の第一期工事区域内の砂洲にトウカイタママキが比較的多く生息するのを確認した.これはトウカイタママ
キの,現在確認されている最大の個体群である.しかしこの生息地の砂洲は,今年度に予定されている浚渫工
事によって,その環境が破壊される可能性が極めて高い.改訂版RDBの記載内容も充分に検討し,個々の種
の貴重性や保全策を充分に検討する必要があると指摘される.
(写真)(省略) トウカイタママキ 泡瀬第一期工事区域内砂洲 2005年8月23日
表2「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 動物編 レッドデータおきなわ」に登載された泡瀬に産する
海洋生物のカテゴリー別種数
絶滅危惧IA類(貝類5、魚類1、甲殻類1)
絶滅危惧IB類(貝類12、魚類2、甲殻類0)
絶滅危惧II類(貝類22、魚類1、甲殻類 3)
準絶滅危惧(貝類56、魚類1、甲殻類3)
情報不足 ( 貝13、魚類0、甲殻類0)
地域個体群 ( 貝類0、魚類1、甲殻類0)
貝類、埋立第1工区で生息を確認41種、生息の可能性あり25種
絶滅危惧IA類:CR
絶滅危惧IB類:EN
絶滅危惧II類:VU
準絶滅危惧:NT
情報不足:DD
絶滅のおそれのある地域個体群:LP
表1
魚類、トカゲハゼ(CR)、トビハゼ(EN)、マサゴハゼ(EN)、キララハゼ(VU)、オキナワキチヌ(NT)、沖
縄島のクサフグ(LP)
甲殻類、シオマネキ(CR)、アマミマメコブシガニ(VU)、オキナワヤワラガニ(VU)、トゲアシヒライソガニモドキ(VU)
タイワンヒメオサガニ(NT)、ルリマダラシオマネキ(NT)、ヒラモクズガニ(NT)
貝類(ランク順、50音順)
コオキナガイ TA サンゴガキ TA チトセノハナガイ TA ナノハナガイ TA
ヒナキンチャク TA ウチワガイ TB オキシジミ TB コハクオカミミガイ TB
ジャングサマテガイ TB シラオガイ TB トウカイタママキ TB
トガリユウシオガイ TB ニッコウガイ TB ハートガイ TB
ハナグモリ TB マダライオウハマグリ TB リュウキュウアサリ TB
Gari sp. U類 アマサギガイ U類 ウスカガミ U類
オイノカガミ U類 オトコエシハマグリ U類 カゴガイ U類
カブラツキガイ U類 カワラガイ U類 ダイミョウガイ U類 トンガリベニガイ U類
ネコガイ U類 ハボウキガイ U類 ヒメオリイレムシロ U類
ヒラザクラ U類 ヒラセザクラ U類 フジイロハマグリ U類
ヘラサギガイ U類 ホソズングリアゲマキ U類 ミノムシガイ U類
ユキミノガイ U類 リュウキュウアリソガイ U類 リュウキュウマテガイ U類
Diplodonna sp. B 準 アケボノガイ 準 アラゴマフダマ 準 イオウハマグリ 準
イチョウシラトリ 準 イボウミニナ 準 イレズミアオガイ 準
イロタマビキ 準 インドアオイ 準 ウラキツキガイ 準 ウロコガイ 準
エマイボタン 準 オオシイノミクチキレ 準 オオヌノメガイ 準
オキナワヒシガイ 準 オハグロガイ 準 オミナエシハマグリ 準 カニノテムシロ 準
カヤノミカニモリ 準 カワアイ 準 キヌメハマシイノミガイ 準 クサイロカノコ 準
クチベニツキガイ 準 ケショウオミナエシ 準 ゴイシザラ 準 コゲツノブエ 準
コニッコウガイ 準 サカマキオカミミガイ 準 サザナミマクラ 準 シマカノコ 準
シレナシジミ 準 ソメワケグリ 準 チヂミウメノハナ 準 ツキガイ 準
ツツミガイ 準 ツヤイモ 準 トゲウネガイ 準 ドロアワモチ 準
ネコジタザラ 準 ハスメザクラ 準 ハスメヨシガイ 準 ヒメニッコウガイ 準
ヒメリュウキュウアサリ 準 ヘナタリ 準 ホソスジヒバリガイ 準 マスオガイ 準
ミガキヒメザラ 準 ヤエヤマスダレ 準 ヤジリスカシガイ 準 ユウカゲハマグリ 準
ユキガイ 準 ヨガンゼキ 準 リュウキュウアオイ 準
リュウキュウアオイガイモドキ 準 リュウキュウサルボウ 準 ワシノハガイ 準
イセシラガイ 情報不足 ウネイチョウシラトリ 情報不足 オキナワハナムシロ 情報不足
オサガニヤドリガイ 情報不足 オボロヅキ 情報不足 コバコガイ 情報不足
チリメンカノコアサリ 情報不足 トモシラオガイ 情報不足 ナタマメケボリガイ 情報不足
ニライカナイゴウナ 情報不足 フイリピンハナビラガイ 情報不足
フキアゲアサリ 情報不足 ヤマホトトギス 情報不足