2003年9月5日

内閣府沖縄担当相 細田博之 様

内閣府沖縄総合事務局開発建設部港湾計画課

港湾環境技術指導官 川上泰司 様 課長 赤倉康寛 様

環境省・環境大臣 鈴木俊一 様

文化庁長官 様

沖縄県知事 稲嶺恵一 様

沖縄市長 仲宗根正和 

 

泡瀬干潟を守る連絡会

共同代表 内間秀太郎 小橋川共男 漆谷克秀

 

中城湾でのジュゴン調査を早急に実施し、その保全策を要請する

 

 泡瀬干潟を守る連絡会は、2003年8月1日に埋立予定地周辺で「ジュゴン調査」を実施し「ジュゴンの糞」を発見しました。「糞」の発見場所は、南側の余水吐護岸の南端から、南西方向約50m付近の海域です。また、「ジュゴントレンチ(食み跡)」は、同海域で数多く見られます。同海域にジュゴンが生息し、そこを餌場にしている可能性が高いことを示しています。

環境省では、沖縄本島周辺海域に生息するジュゴンの全般的な保護方策を検討するため、平成13年度から、「ジュゴンと藻場の広域的調査」を実施し、平成15年に「ジュゴンの目視調査」を実施して辺野古や嘉陽、屋我地等で4頭(これまでの合計7頭)の遊泳中のジュゴンを確認しています。しかし、この調査は「中城湾」では行われておらず、漁業関係者のアンケート調査でも中城湾の漁業組合は、対象外になっており、同海域での調査は不十分でした。防衛施設庁のジュゴン調査も辺野古海域で行われただけであり、中城湾は含まれていません。

 中城湾では、近年、南西石油のバース付近、久高島の北東海域でジュゴンの目視例があります。同海域はジュゴンの好物・餌である「ウミヒルモ類」が広範囲に生息していることから、ジュゴンの生育地・餌場であることは、十分予想されたことでした。同海域にウミヒルモ類が広範囲に生息していることは、沖縄総合事務局の20037711日の調査で明らかになっています。

 さて、ジュゴンは戦前、史跡名勝天然記念物保存法により「国指定天然記念物」に指定され、戦後、1955年に「琉球政府指定天然記念物」、1972年の日本復帰とともに文化財保護法により「国指定天然記念物」とされ、現在に至っています。鳥獣保護法でも、同法上の「鳥獣」として保護対象とされており、「希少鳥獣」にも指定されています。水産資源保護法でも、捕獲禁止対象種に指定されています。

 沖縄のジュゴンは、国際的にも、北限のジュゴンとして、その保護が課題になっており、ワシントン条約でも、最も厳しく規制される附属種Tに指定され、日本の「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」でも、国際希少野生動植物種に指定され、その保全が求められています。

 ところで、同海域では最近、新種の可能性のある海草「ホソウミヒルモ」、貝「ニライカナイゴウナ」や、海藻の新種「リュウキュウズタ」、絶滅危惧U類の海草「ヒメウミヒルモ」や、希少種の貝類が発見され、同海域の貴重さ・種の多様性が再認識され、その保全が大きな課題になっているところです。さらに、この海域にジュゴンが生息していることが判明した現在、国際的保護動物であり、個体数が激減しつつある北限のジュゴンを埋立工事によって絶滅に追い込むことになれば国際世論の非難を浴びることになり、先進国として恥ずべき行為です。ジュゴンが天然記念物に指定されてから長い年月が経過していますが、その保護については、放置されたままです。

 また、文化財保護法第80条は、「保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならい」としています。同海域の埋立事業は、文化庁長官の許可を受けておらず、同法に違反し同法107条の罰則が適用されることになります。

 以上の理由により、泡瀬干潟を守る連絡会は、次の要請を行うものです。

 

要請

 

1.中城湾(泡瀬地区)公有水面埋立事業に伴う「環境アセス」ではジュゴンについては一切触れられていません。内閣府沖縄総合事務局は、中城湾における「ジュゴン調査」を早急に行い、ジュゴン保護の対策を行うよう要請いたします。また、調査を行い、その保全策が確定するまで、埋立事業の「中断」を要請いたします。

2.環境省は、「ジュゴンの目視調査」を中城湾でも早急に実施し、種の保存法に則り、同海域をジュゴンの保存地域に指定するよう要請いたします。

  また、種の多様性を示す同海域を「世界自然遺産」の保全地域に指定するよう要請いたします。 

3.文化庁は、ジュゴンの保護の立場から、同海域でのジュゴン調査を独自に実施し、文化財保護法に則り、ジュゴンの保護・同海域の保存を図るよう要請いたします。

4.沖縄県・沖縄市は、同海域でのジュゴン調査、その間の埋立事業の「中断」を関係各機関に働きかけるよう、要請いたします。