誤魔化しの合同調査
1.合同調査への疑義
合同調査への疑義
(埋立予定地海草藻場被度の合同調査の問題点と解決すべき課題)
2004年10月15日 泡瀬干潟を守る連絡会
(T)合同調査の経過と問題点
1.
事業者は埋立予定地内には、アセスに基づく移植すべき被度50%以上の海草藻場は無いと公表していた。これに連絡会が異議を申
し入れたことにより、埋立予定地内の一定区域を双方が同時に検証することが有効との認識で合同調査を行うことを確認した。
2.
これは海草の生育や被度に対し、統一的共通認識の確立が求められていたからである。
3.
被度確認の基準となるものについては、これまで事業者は機械移植実験、手植移植、減耗対策実験などを長期に亘り行ってきてお
り、その調査報告は定期的に発表されてきた。こうした豊富なデータがあるならば、合同調査の基準として利用することが分かりや
すく、共通認識が深まるとの判断のもと、事業者に最新の手植え移植地の海草被度がわかる写真提供を合同調査時点までに提示する
ことを求め、事業者はこれを約束した。
4.
しかしながら、10月12日、14日の合同調査に於いても、基準とすべき被度50%以上の写真を事業者は、連絡会に提示できなかっ
た。
5.
事業者が示したのは、サンゴのマンタ法調査に使われる被度区分の被度基準表であり、これを海草被度にも応用できるとしていた。
6.
海草の被度を示すスタンダードな基準がすでにあり、オーストラリアの公的調査、日本自然保護協会の海草被度調査に利用されて
いるのは衆知のことである。このスタンダードを利用することは可能であるのに、事業者はこれについては、一言も触れなかった。
7.
さらに、事業者は合同調査の意義を無視し、12日に勝手に調査を強行し、事業者単独の記者会見を行い、調査結果を公表した。
8.
判断基準になる資料を示さず、一方的に調査を強行し、依頼しているコンサルの調査員の主観・目視による調査結果を唯一信頼で
きるものとして、記者会見で公表した事業者の行為は、道義的にも許されず、誤魔化し、まやかしのもと、海上工事を強行しよう
とする態度であり、市民・県民が納得できるものではない。
(U)解決すべき課題
1.
判断基準の統一のもと、撮影した写真等も利用し調査結果を双方合同で再確認すること、また統一した判断基準のもと専門
家を含めた第3者による再度の調査を行うことは、今後解決すべき大きな課題である。
2. この問題の解決がないかぎり、工事再開は許されず、海上工事は出来ないのは当然である。
2.合同調査記者会見
記者会見 被度の合同調査について
2004年10月14日泡瀬干潟を守る連絡会
1.
合同調査の日程
事業者とは、2日間行うことを約束していた。
10月12日:被度調査の場所の指定
連絡会が場所を指定し、事業者は10mメッシュのロープを設置する。
10月14日:両者で合同調査を行う。
2.
事業者の対応の問題
12日はロープを張り、潜水調査は14日に行い、被度測定・写真撮影・ビデオ撮影を行うとしていたのに、事業者は12日に被度測
定・写真撮影・ビデオ撮影を行い、記者会見を設定し、調査結果を発表した。
これについて、泡瀬干潟を守る連絡会は約束違反、合同調査の意味がないと主張したが、事業者は態度を変えず強行した。これ
に対し泡瀬干潟を守る連絡会は抗議した。
3.
連絡会は14日に、潜水調査(被度測定・写真撮影・ビデオ撮影)を行った。
被度については、事業者の提供した写真(手植え移植地St.10Hの被度50%以上の海草藻場の写真)を参考にして行う予定だった
が、事業者は提供を約束したのに、当日色々理由を言って写真を提供しなかった。
4.
調査結果は別紙の通りである。
合同調査の海草藻場の被度 100区画の平均値 56.6 %
(参考:事業者の調査結果 43.4%)
5.
埋立予定地には同様の海草藻場は多くあり、アセス書に従い、移植すべきである。
6.
しかし、移植技術が確立していない現時点では移植できない。
7.
従って、海上工事は着工できないはずである。
事業者の被度調査の問題点
1.環境影響評価書での被度調査の方法
|
10m×10m (10mメッシュ) |
普通は1m枠での調査
海草藻類専門部会での専門家の見解
「普通は1m枠。大きくても2m枠。10m枠は大きすぎる、それで調査すると被度50%以上の海草藻場は、見つけることが難しい。」
2.平成14年度、減耗対策実験、手植え移植での濃密生域の定義
減耗対策試験に用いる海草(減耗マニュアル、P1)
A濃密生域とは、一定区画(数メートル四方)の中で投影的に海草の被覆範囲(被度)が50%以上である範囲を示すものである。
移植(手植え)対象とする海草(手植えマニュアル、P1)
A濃密生域とは、一定区画の中で投影的に海草の被覆範囲(被度)が50%以上である範囲を示すものである。
3.平成14年度海草移植(減耗、手植え)の実績
平成14年度については、図4.1-1に示したように余水吐護岸、トチリ中仕切護岸、仮設桟橋の施設予定域等のうち、32,000uに藻場が
分布している。これらの藻場は10mメッシュによる調査では、被度50%を超える濃密生域箇所はなく、パッチ状に存在する藻場のうち移
植すべき規模のものについては、余水吐護岸区域では約250u、トチリ中仕切護岸区域では約100u存在し、仮設桟橋区域では見られな
かった。(図4.1-3) このため平成14年度はある程度まとまったパッチ状に分布する合計約350uの濃密生域の藻場を移植することと
する。また、委員会において提案した機械化移植工法の減耗対策の効果を検証するため、このうち約250uは減耗対策試験移植に用いる
こととし、残り約100uを手植え法により移植する。[海草移植計画(平成14年12月16日、開発建設部)P18 A平成14年度計画]
4.泡瀬干潟を守る連絡会の主張
事業者は、02年度の実績を踏まえ、海草藻場の濃密生域
「一定区画(数メートル四方)の中で投影的に海草の被覆範囲(被度)が50%以上である範囲」
を移植すべきである。
しかし、移植技術が確立していない現時点では、移植できないので、海上工事を行うべきではない。
参考資料 [海草移植計画(平成14年12月16日、開発建設部)
「海藻移植マニュアル」(減耗対策実験、手植え移植)
広域藻場調査の問題点
1.
事業者の調査によれば泡瀬海域での海草藻場は平成13年度から、平成16年度まで減少し、最近は激減している。
この結果と海上工事、移植(機械移植実験、手植え移植、減耗対策実験)の時期を整理すると次のようになる。(値は、大型海草被度
50%以上の藻場の面積)
平成13(01)年度11月調査: 56.8ha
機械移植実験(11月〜02年2月)
平成14(02)年度11月調査: 20.6 ha
手植え移植、減耗対策実験、海上工事:11月〜03年3月
平成15(03)年度6月調査: 10.3 ha
仮設橋梁工事:03年2月〜3月
平成15(04)年度11月調査: 9.8 ha
平成16年度6月調査:
4.1 ha
工事、移植と海草藻場の激減は相関関係があると思われる。もし、被度が減少していることが事実であると、工事、移植が原因と思わ
れるが、事業者は台風が主な原因と述べている。沖縄は毎年数多くの台風が襲来する。台風が原因であれば、沖縄の海草藻場は消滅す
るはずである。事業者の見解は間違っていると思われる。
2.
事業者の被度調査は移植地と埋立予定地・自然藻場で同じような手法で行っているか疑問である。
自然藻場、工事海域を数多く観察してきたことからすると、被度50%以上の海草藻場が激減しているとは思われない。
移植地の移植海草の被度(手植え移植地被度20〜30%)と比較すると、埋立予定地には、被度50%以上の海草藻場はかなりある。
事業者は、埋立予定地と移植地を平等に扱っているか、疑問である。
3.
第3者機関での被度調査が必要である。
今度の合同調査の結果、事業者と泡瀬干潟を守る連絡会では約13%のずれがある。
公平を期すため、第3者機関での被度調査が必要である。
泡瀬干潟を守る連絡会は18日に海草専門家(金本自由生愛媛大学助手:元環境監視・検討委員会委員、海草藻類WG委員)に
同地点、及び周辺海域の被度調査を依頼している。
4.
泡瀬干潟を守る連絡会では、14日の調査結果の詳細(100の全区画の写真)と金本氏の被度調査結果を後日改めて記者会見で公表
する予定です。
日程は、後日連絡します。